「大丈夫大丈夫」
何が大丈夫なんだよ…。
美海はぐいぐいと沖田に引っ張られる。
バフッ!
「きゃっ!」
美海は布団の上で沖田に押し倒された。
手を抑えられて上にまたがれている。
ニヤリと笑う沖田に再び顔を赤くした。【雄性禿】破解關於雄性禿脫髮的7大迷思 @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::
次の日も新撰組は帰ってこなかった。
相変わらず普通の朝だが、あっちではまだ戦争は続いているのだろう。
近藤、沖田の治療。眠れない夜。そんな風に過ごして、更に数日が経った。
戦争が始まって3日後。
意外な人が帰ってきた。
美海は近藤の様子を見に行った後、大阪城の長い廊下を歩いていた。
一度近藤、土方に着いて二条城に行ったことはあるが、それに比べ物にならないくらい大きい。
「あ。君、確か新撰組の人だよね?」
声を掛けてきた相手はジロジロと髪を見てきた。
なるほど。
髪色で判断してるわけね。
便利だ。
「あ。はい」
「えっと確か…。黄金の蜂の…」
男は顎に手を置いた。
「立花です」
「そうそう。立花さん」
なんだろう。
「君んとこの山崎って人、さっき運ばれてきたよ」
「えぇ!?」
美海は大声を上げた。
周りの道行く人が驚いたように見てくるため、軽く会釈した。
「ま、まぁ、とりあえず、あそこの部屋に運ばれたみたいだから」
その男は近くの部屋を指差した。
「ご親切にありがとうございます!」
美海は大きく頭を下げた。
「いいよ」
「あの、失礼なければお名前を…」
「松平太郎」
松平はにっこりと笑うと手を挙げて行った。
今さらだが、色白のとても優しそうな人だった。年は美海の少し上ぐらいだろう。
松平さんか。
それより山崎さん!
美海は血相を変えて走った。
開けたらどうかケロッとした山崎さんがいますように!
美海はきつく目を瞑った。
ガラッ
勢い良く襖を開ける。
「山崎さん!?」
「よ…よぅ。美海ちゃんやん…」
「山崎さん!!」
床には美海が思ったよりも重症の山崎がいた。
美海は涙を浮かべながら近づいた。
「美…海ちゃん…そんな急いで、沖田さんから…乗り替…える?」
そんな苦しそうに冗談を言う山崎に美海はいつものように怒鳴ることはできなかった。
山崎は布団の中から手を伸ばす。
美海は握った。
「つっ!」
それだけでも山崎は顔を歪ませる。
「す!すいません!」
「い…いから。握っ…てて」
美海は頷くと、そのまま座った。
「いったいどうしたんですか!?」
美海は今にも泣きそうだ。
そんな美海の目に溜まっている涙を山崎は指で拭った。
「ちょっと…撃たれた…。弾が5、6発入ってる」
美海は声にならない悲鳴を上げた。
「あっちは凄…いよ。銃弾の雨が…降っとる。土方…さんには、会え…なかったんやけど、多分元気や…ろ」
「そうですか」
美海は必死に頷く。
どうしたらいいんだろう。
「本間、監察の俺がこ…んな撃たれて…どないな話やって感じや…な。監察失格や」
「そんなことありません!!」
美海は山崎が今までどれ程隊のことを思って働いてきたか、身をもって知っている。
「美…海ちゃん…を、あ…んな地獄に連れ…ていか…んくて、本間に良かっ…た」
喋る度に傷口から血が溢れる。
どうしたらいいの!?
動けない。
「寝ますよ」
沖田はにっこり笑って言うと、手を放して横で眠りだした。
心臓に悪い!
逆に美海は眠れなくなった。
その直ぐ後、大阪からも見えるぐらいの炎が伏見で上がっていたことに美海は気付かなかった。
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