「平助。私は新撰組を離れようと思う」
「え!?なんでですか?」
そんな話を急に伊東がした。
美海の素性がバレる前。
いつものように藤堂は伊東の部屋にいた。
「攘夷を先駈けとしていたはずだ。今の新撰組はおかしい」
「うーん…」
藤堂も北辰一刀流の出だ。確かに少しは攘夷意識はあった。だが、正直そんなに深くは思わない。
このままでいい。
「でも伊東先生。新撰組は抜けれませんよ。切腹しなきゃ駄目になります」
藤堂は笑った。
そして道場に行く。
相変わらず幹部がビシバシと隊士を特訓していた。
一番隊は病で床についている沖田の代わりに美海が練習相手をしている。
美海の打ち方と練習方は段々沖田に似てきた。
皆強いよなぁ。
藤堂は入り口に立ったままそれを見ていた。
次々と隊士は倒されていく。
植髮香港 美海は最初も強かったけど、総司の訓練を受けてから益々強くなった。と思う。
「あ!藤堂さん!」
美海が立っていた藤堂に気づいた。
藤堂はヒラヒラと手を振る。
美海は隊士に何か言うとパタパタと走ってきた。
「打ち合いしませんか?」
にっこり笑っている。
男だとわかっていても惚れそうな笑顔だ。
「いいよ」
このままでいい。
“今の新撰組はおかしい”
伊東の言葉再び頭に浮かび、そう思った。
おかしいのかもしれないけど、俺には問題はない。
このままでいい。
だが勝手が変わった。
美海が女だった。
別に美海が女だったことに問題はなかった。
むしろ、あぁ。やっぱり。と妙に納得する面があった。
大体、思い返せば怪しい場面は沢山あった。
だが、脳内で「美海は男」と肯定されていたため、気にしたことはなかった。
例えば、今まで普通に女として接していた友達が実は男だったり。
例えば、今まで普通に男として接していた友達が実は女だったり。
他人から
「あいつ女なんだぜ!」
「あの子男なんだよ!」
そんなことを言われても冗談にしか取れない。
そんなことは本人からカミングアウトされない限りわからない。
脳がその性別で見ているから。
それが中性的な顔であったら更にそのパーセンテージは上がる。
「女…?」
藤堂は放心状態になった。
土方、沖田は知っていた。
美海が女だということより、そっちが気になった。
やっぱり。ここは天然理心流で出来てる。
北辰一刀流やら他の流派は蚊帳の外なんだ。
そう確信した瞬間だった。
確かに、新撰組の中核は近藤、土方、沖田と天然理心流で固められている。
あながち間違いではない。
最初は自分だけ仲間外れにされたような寂しい気持ちになった。
だが、美海はわけありなのだ。
それに、近藤も知っていたわけじゃない。
仕方なかったんだな。
そう思うことにした。
思うことにした。
いつものように伊東に会いに行く。
「山南さんが死んだのはそもそも土方くんのせいなんじゃないか?」
「は?」
流石に藤堂もこれにはムッときた。
「何を言うんですか」
土方さんがなんで出てくるんだ。
大体、あれは山南さんの隊規違反で切腹したんだ。
誰のせいもくそもない。
伊東は妖しく笑った。
何がおかしい。
「山南さんは隊規違反で切腹したんですよ?」
何を今さらほじくり返すんだ。
「本当にそれだけか?」
「へ?」
「土方くんと近藤くんで責め寄っていたらしいじゃないか。土方くんが山南さんの居場所をなくしたんじゃないか?」
「そ…それは…」
確かに揉め事はあった。
でも、居場所をなくしたわけじゃない。
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