三津は目を丸くしてにんまり笑う入江を見た。
「稔麿と玄瑞と過したそこへ行ってみん?いい気分転換になると思うんやけど。」
「行き……たい……萩……。」
「それがいい,ここの事は私に任せちょき!落ち着くまで存分に入江さんと出掛けておいで。娘が傷心なんは見ちょられんけぇ……。」
セツが三津を抱きしめてよしよしと頭を撫でた。【雄性禿】破解關於雄性禿脫髮的7大迷思 @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::
「じゃあ三津さん今すぐ稔麿と必要な物……京からここへ来る時ぐらいの荷物作って門の前におり。」
三津はこくこく頷いて準備をしに相部屋に戻った。
入江は話し合いをしていた部屋に戻り白石だけを呼び出した。
「白石さん三津さんと急須買いに行くけぇ旅費貸して。」
「何で急須買うのに旅費なの……。」
「傷心の三津さん放っておけんやろ?」
三津の為と言われたら仕方あるまい。
「どれくらい必要?」
「んー萩まで往復。」
「は!?」
大声を出しかけた白石の口を入江は素早く押さえた。「静かに。桂さんには内密に。これぐらいしないと反省しませんからあの人。」
桂への仕置は三津との接触を断ち切る事だ。もしこれで幾松に流れるようならそれまでの男だ。
「それに萩へ連れてくのは稔麿との約束なんで。」
「そうかい……。分かった今から用意するから三津さんと一緒に家まで来てくれる?」
入江は恩に着ますと深く頭を下げて白石と共に,公開処刑をされみんなに質問攻めに合う桂のいる部屋から離れた。
入江も必要最低限の荷物を持ち阿弥陀寺の門の前に行くと,吉田を背負って小さな荷物を抱えた三津が待っていた。
「お待たせ行こうか。」
「白石さんも?」
「行きに白石さんのお宅に少し寄るそ。」
三津は分かりましたと入江と白石の後ろについて歩いた。
「三津さん大丈夫?」
大丈夫な訳ないだろうしあまり話は振られたくないだろうけど今の白石が三津にかけられる言葉なんてこんなもんだ。
「何でしょう……。何がなんだかよく分からへん状態です……。」
「これは一応伝えておくね?あの話の娘さんが孕んだ桂君の子は流れたそうだよ。それで気が狂って幾松さんに刃物を振り回したらしい。
どうやら幾松さんを三津さんと勘違いしたらしくて。」
「え?その人私の事知ってたんですか?」
「うん,それで桂君が自分に振り向かないのは三津さんがいるせいだと。言えば八つ当たりだね。
桂君はねずっと三津さんに文を書き続けてたんだけど,どうもその娘さんが送ったと見せかけて処分してたみたいなんだ。」
「そう……ですか……。」
三津は抱えていた荷物をさらにきゅっと力を込めて抱いた。
『桂さんも相変わらず詰めが甘い。好意を寄せる相手に想い人がいると分かればどうするかくらい読めただろうに。脅してまで抱いてくれとせがむ女やぞ。』
入江は声を大にして言いたかったが傷心の三津の手前それは止めた。
白石邸についてすぐに用は済ますからと三津を玄関に待たせて白石と入江だけ中に入った。
「三津さん連れてだと時間がかかるだろうね。」
「でしょうね。歩き旅には慣れてないので。でも今の三津さんには桂さんとの距離と考える時間が必要なんで。」
「今回は食べちゃうの?」
「さぁ?三津さんにその気がなければ私は何もしません。」
「そう。でも今日の修羅場を見て伊藤君が三津さんの嫁ぎ先を探してくれと言ってた理由も分かったよ。」
「桂さんは三津さん泣かす天才ですからね。」気を付けてと心配そうな目の白石に見送られ二人は萩に向かった。
「出て来たのはいいけど思いつきやけぇ今日は早めに宿に入る。そこで予定立てて萩に行こう。」
「ふふっこんなん初めてやからワクワクします。」
「笑えるやん。」
まだ覇気はないが弱々しくも楽しそうに綻んだ目元に入江も目を細めた。
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