七月二十日。 近藤や土方率いる新撰組は会津藩と共に天王山へ追討へ向かうこととなった。 そこには敗走した真木保臣を中心とした十七名の志士らが立て籠っていたのである。 翌日、新撰組は近藤と土方を長とする二つに隊を分けた。近藤隊は真木らのいる天王山の山中を目指し、土方隊はを固めることとなる。 真木は共に御所から逃げた兵士達を先に長州へ帰し、自らを務めていた。 久坂や来嶋の最期に何かを見出したのか、Visanne 子宮內膜異位/朱古力瘤藥 はたまた隊を率いる者の責務としたのか。彼の心情は誰にも分からない。 の衣という堂々たる装いをし、慣れぬ鉄砲を手にしていた。 新撰組と会津が攻めてきたという報により、真木らは持っていた鉄砲で銃撃戦を開始する。 しかし、直ぐに弾切れになり結果は火を見るより明らかとなった。 敗北を悟った彼らは小屋に立て籠り、自らそれに火を付けた。 「くッ、水を持ってきてくれ!」 焦った近藤は隊士に命を下す。だがその小屋は武器庫でもあり、火薬の勢いも手伝ってか火の勢いは増すばかりだ。 「この無念は国の仲間が必ずや晴らしてくれるじゃろう…。いざッ、さらばじゃ!」 肉を割く音や断末魔が辺りに響く。そのとも言える光景に、近藤らはただ立ち尽くすしか術が無い。 手柄こそは得ることが出来なかったものの、賊軍となればこの様な最期を迎えるという光景を近藤は目に焼き付ける結果となった。 多摩の百姓であれば決して目にすることの無かった光景である。 昇華するように燃える炎を見て、近藤は目を細めた。 「……敵ながら、見事な死に様だ」 何処にも語り遺すことは無かったが、この時近藤は池田屋騒動からこの戦に至るまでの長州志士の生き様に、心が揺さぶられる思いだったという。 やがて、下山し土方隊と合流した。 「近藤さん、どうだった」 土方の質問に近藤は厳しい顔を伏せて首を横に振る。 「…奴等、小屋に立て籠って火を付けて切腹したよ」 「そうか…。残りの奴らは大坂まで逃げたらしいが、どうする」 「…此処まで来たのなら追おうッ。今度は大坂で不逞を働くやも知れんしな」 近藤は即決した。会津藩は難色を示したものの、最終的に許可を出す。 翌日。新撰組はそのまま大坂まで足を運んだが、長州勢は大坂に留まらずに帰郷していた。 手柄という手柄は上げることなく、この戦は終了することになる。七月二十二日。 池田屋騒動から丁度四十九日が立とうとしている。 その夜は蒸し暑く寝苦しかったこともあってか、桜花は眠りも浅く、起きたり寝たりを繰り返していた。 ふと、開けた小窓から風が優しく吹いてくる。 ふわりと草の匂いが鼻腔を掠めた。 その心地良さに今度こそんでいく。 枕元の鬼切丸が一際妖しく赤く光った── 穏やかな風が頬を撫で、鼓膜に草のざわめきが響いた。 導かれるようにゆっくりと目を開けると、眼前には空に浮かぶ朧月を隠すように桜の枝が被さる。 身を起こし、左右を見渡すと草原が一面に広がっていた。身体の横には鬼切丸が置かれている。 そこへ前方から人影が此方へ歩いてくることに気付いた。近付くにつれ、その人物の顔が認識されていく。 桜花は目を見開いた。ぼんやりとする頭が覚醒していく。 『桜花さん』 金の