じゃないからね」
「はああああ?じゃあ、雑菌がないっていうのか?いや、そこじゃないぞ。ぺろぺろっていう行為が問題なんだ」
「いいじゃない。鼻、なんだから。それとも、ぼくだからイヤなの?ああ、そうか。八郎君に、鼻以外のところをなめてもらいたいん……」
「馬鹿っ!やめろっ」
いまや俊春は、ささやき声ではなくフツーの声量でしゃべっている。しかも、いまこのとき、室内にいるだれもなにもしゃべっていない。
つまり、全員が俊春の言葉をしっかりきいている。
あいにく、避孕藥香港 ここで耳がきこえないのはしゃべっている当の俊春だけで、それ以外は難聴でも耳垢がつまりまくっていることもないだろう。
そのことに気がつき、頭ごなしにけなしてしまった。しかも、立ち上がって怒鳴り散らしてしまった。
めっちゃするどいが突き刺さった。
いつの間にか、相棒が縁側に前脚をのせ、おれをめっちゃにらんでいる。
「ひどい」
俊春は、を上向け、いまにも涙がこぼれ落ちそうになっている。
「い、いや、ごめん。だって、あらぬことをいいだすから……」
「ぼくは、ぼくはただきみの鼻の傷のことを心配しているだけなのに……」
ついに、かれのをうるうるさせている。かっこかわいいから大粒の涙がこぼれ落ちた。
くそっ!またもやはめられた。
『カチカチカチカチッ!』
そのとき、縁側から音がきこえてきた。
おそるおそるみると、相棒が爪で廊下をたたいている。
いまにも飛びかかってきそうだ。
「あーあ、泣ーかした」
蟻通がつぶやいた。
「気の毒なぽち」
島田もまたつぶやく。
「この野郎っ、かわいいぽちをいじめやがって」
副長は自分が原因なのにもかかわらず、まるでおれが副長の愛犬を棒でぶっ叩いたかのように非難してきた。
「……」
さらには、俊冬などは無言のままおれをじーっとみている。
ダメだ。
鼻を刀で突かれたくらいではすまなくなってしまった。
「それで、あらためて今夜お招きしたのは……」
どうやら、振りだしに戻ったようだ。
散々けなされ、無言の非難を受けてしまった。
その傷心のおれの耳に、俊冬の説明の声と俊春が鼻をすすり上げる音がまじりあって入ってくる。
おれのとしての尊厳は、だけ現代に戻ってしまったのかもしれない。
踏みにじられたり、ぼろぼろバラバラにされるほどのものすら、もはや残っていない。
「たま、だれかさんのせいで夜が明けちまう。さっさと本題にはいれ」
俊冬がいいかけたところに、副長が急かした。
ってか、おれのせいじゃないよな?
おれのせいじゃないじゃないか。
心のなかで無実を叫んだ。
どうせダダもれだ。
とくときいてくれ。
「承知しています。くだらないことでときを費やすのも馬鹿馬鹿しいですからね」
が、俊冬はそれを見事なまでにスルーしてしまった。
「人見先生、八郎君のことでお話があるのです」
俊冬が、核心をきりだした。
「まさか、八郎だけ新撰組にほしいとか?」
人見は、驚愕に目をみはった。
「それならば人見先生、あなたもお誘いいたしますよ」
「それをきいて安心したよ」
はい?
人見は、さっきのやりとりをみていなかったのか?
それとも、かれのは節穴なのか?
どうして、さっきのやりとりをみたにもかかわらず、に移りたい、入りたいって思うのか?
気がしれない。
「だまりやがれ」
「だから、なんにもいってませんってば」
副長にいまの心のつぶやきをダメだしをされてしまったから、思わずいい返してしまった。
「八郎君。きみのために人見先生におれたちのことを話し、協力を得ようということになったんだ」
俊冬が断りを入れると、伊庭は無言でうなずいた。
そのうなずきを確認し、俊冬はまずおれたちの正体を明かした。
ってか正体を明かすって、なんだかカッコよくないか?
まるで、創作にでてくる謎めいた人物みたいだ。
「実際はずいぶんとちがうけどね」
「シャラップ、ぽち」
いつの間にか泣き止んだ俊春が、ぽつりとつぶやいたのでダメだしをしてやった。
「ひどいや。ぼくがちょっと年少だからって、いじめないでよ。そりゃあ、きみは年上好みだよ。だからといって、そんなに邪険にしなくっても……」
「だからだまれって、ぽち」
「おまえがだまれ、主計っ!」
「ちょっ……。副長、ひどいですよ。ぽちがちょっかいをだしてくるんです。叱るなら、ぽちを叱ってください」
「あああああああ?かわいいぽちを叱れるかっ!」
「はああああああ?じゃぁ、おれはかわいくないんですか?」
「かわいくない」
ソッコーで肯定されてしまった。
なにゆえだ?
おれのどこがかわいくないっていうんだ? 伊庭がキラキラしているだなんて、おれはこんなときになにをいっているんだ?
自分で自分にダメだしをしている間に、伊庭はさきほどより激しく人見を揺さぶりはじめた。
「脳に、頭の中にある血の管にふくらみができて、それが突然破裂することです」
俊冬が沈着冷静に解説してくれた。
が、伊庭はきいちゃいない。さらにさらに激しく、人見を縦に横に揺さぶりまくっている。
こりゃダメだ。
助かるものも助からない。
絶望的になった途端……。
「フガガ、フガ?おや?」
人見が頭を上げたのである。
「勝太さん。その癖、いいかげんにしてもらわないと」
「ああ、すまない。またやってしまったか。腹がいっぱいになって、ついやってしまった」
「やってしまったなんてものじゃありませんよ。まったくもう。不気味すぎますし、人騒がせすぎます。ほら、ごらんなさい。みなさん、驚きまくっていますよ」
伊庭は、唖然としているおれたちを分厚くて剣ダコのできている掌で指し示した。
「これは、申し訳ありません」
人見がテヘペロった。
「いったいなんだったんだ、いまのは?」
副長が、おれたちの疑問をぶつけてくれた。
「人見さんは、
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