2024年06月
求められるままに、求めるままに
求められるままに、求めるままに。
これは快楽なのか、興味なのか。それとも淋しさなのか。愛なのか。
世の中の人は、その違いを認識しているの?
認識した上で、性の営みがあるの?恋愛があるの?
曖昧なまま、関係を続けている人もきっといるはず。
―――恋愛は神秘的で、ひらめくものだ。
―――心と身体ともに結ばれ、それが個人と個人の間に生まれることは恋愛のほかにない。性的にも霊的にも、自我を満足させるのは恋愛のみ可能だ(『近代の恋愛観』)。
「ひらめき」と、「自我を満足させること」。
そこからはじめても、いいじゃない。
ひゐろは斎藤に抱かれながら、そう思った。【雄性禿】破解關於雄性禿脫髮的7大迷思 @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::
こうして二人は、心ゆくまで求め合った。その日から斎藤は、のひゐろの自宅で暮らすようになった。
斎藤は人目をるのか、ほとんど外出をすることがない。
読書をしたり、ひゐろの代わりに家事をして、時間を潰した。
ひゐろが休みの日には、二人はただただ愛欲の時を過ごした。
激しく求め合い、快楽をる。
ひゐろは、女であることの悦びを覚えた。
斎藤から恋愛を匂わせる言葉は何一つ語られなかったけれど、ひゐろは満ち足りていた。
―――警察からの追手を恐れるがゆえ、私の身体にと快楽を求めているのだろうか。
時折、ひゐろはそう思うことがあった。
ひゐろも孟で埋められなかった何かを、斎藤に求めているだけかもしれない。
そう思うと、自分の気持ちにも確信が持てずにいた。
二月になった。二人で朝食を食べていた時のことだ。
「今日の関東日日新聞を見たかい?」
斎藤は、ひゐろにたずねた。
「いいえ。何か重大なことが書いてありましたか」
斎藤は関東日日新聞を、ひゐろに手渡した。
「一面に、が亡くなった記事がある。先月は、も亡くなった。近代国家を形成した人々が、次々と去っていく。時代は確実に、移り変わっている」そう言うと、斎藤は黙々と飯をかき込んだ。
「まさか山縣有朋さんが!昨年の十一月にはされました。おそらく、転換期を迎えているのでしょうね」
ひゐろも斉藤に同意した。
「……今日は久しぶりに、大学へ行ってみたい。兄の車を返した後、出かけてみるよ」
と斎藤が切り出した。
「そう。私もそろそろ仕事へ行く時間だから、支度をしたら出かけるわ」
ひゐろは茶碗の上にを置き、食器を持って立ち上がった。
「玄関に、合鍵を置いておくわね」
ひゐろは化粧をし、仕事へ行く身支度をはじめた。
そして出かける前に玄関に斎藤を呼び、ひゐろから熱く熱く口づけをした。
どうか、私の唇や舌を忘れないようにと。
「……必ずここに帰ってきてね」
斎藤は黙って、ひゐろの顔を見つめた。
「それでは、行ってきます」
ひゐろは、玄関の扉を閉めた。
―――どうか、私の唇や舌を忘れないように。
身体を通して念じている。
そして自らの身体を通して、斎藤を満たしたいと思っている。
目を閉じて、ひゐろは斎藤のの感触を浮かべた。
私の肌を刺す、あの雄々しさ。
やはり、斎藤を愛してしまったのだろうかと。
駅へ向かう道には、雪が積もっていた。その日のひゐろは、十八時に帰宅した。
鍵は閉まったままで、灯りもついていなかった。
とりあえず、何か暖かいものをつくろうと思い立ち、土間へ向かった。
土鍋に昆布を入れ、煮立たせる。
そこに豆腐を入れながら、ひゐろは思った。
あの時、「出かけないで」と言うべきだったのではと。
行動を制限するつもりはないが、斎藤が警察に捕まってしまうことが何よりも怖かった。
斎藤はいつもひゐろの前に突然現れ、