にのらぬことがわかっているからです」

 

 副長が、はじかれたように俊冬をみる。

 

 どういうことなんだ?せっかくのうまいからわかっていると?

 おれの正体がかかわるってところも、よくわからない。

 

「失礼ながら、あなたもまた、局長と同様に死地を求めてらっしゃるように感じられるのです。否、厳密には、局長をとめる術がなく、みすみす死なせてしまう真実を受け、すべての責をまっとうされてからあとを追おうとかんがえていらっしゃる・・・」

に、これまでみたことも感じたこともないほどの深い深い悲しみと憎しみの色が、濃くでているからである。

 

「主計。副長のをしっ 避孕藥副作用 ているおぬしだ。いまのをきいて、どう思った?」

 

 副長とにらみあいながら、俊冬はおれにふってくる。

 

 逡巡してしまう。副長は、いっさい自分のについて尋ねてきたことがない。局長とはちがいが助かることへ結びつくのか。

 

 とてもじゃないが、そうはかんがえられない。それどころか、副長にも、を肯定し、覚悟させることになるのではないか・・・。

 

 なにゆえ、このような流れになるのだ? 

 やはり、俊冬の真意がわからない。

 

「副長。いまの主計の沈黙とをよんでいただけたかと」

 

 くそっ!またしても、よまれてしまった。

 俊冬は、おれの回答などどうでもよかったわけだ。言葉にだす必要はない。なぜなら、おれは、世界一をしった副長より、島田のほうがはるかに動揺している。

 

「殺っても、死ななそうだよな」

 

 そこではじめて、副長のがやわらいだ。眉間の縦皺も、子どもらを叱り飛ばすときくらいの刻み具合である。

 

「い、いえ。そういう意味では・・・」

 

 島田は、すっかり恐縮してしまっている。

 

「おれのは、よみにくいんじゃなかったのか、?」

「ええ。あなたの心中は、じつによみにくい。ですが、よまずとも感じられるのです」

 

 どういう意味なんだろう?副長の心中、思考を感じられる?

 俊冬、なんか謎だらけだぞ。

 

「さっきの答えだがな。かっちゃんと別れても、おれは戦いつづける。一人になろうとも、やれるところまでやってやる。これは、かっちゃんの遺志を継いでとか、や幕臣としての矜持や意地なんかとは関係ねぇ。ただ、やりたいからやる。戦いたいから、戦う。それ以上でも以下でもねぇ。それから、ぽちたま。おれはおまえらに、暗殺やら闇討ちやらを命じるつもりはねぇ。いいな?勝手な真似はするんじゃねぇぞ」

 

 いっきに告げると、副長はゆっくり立ち上がる。それから、緩慢な動作であゆみだし、相棒の側で立ち止まるときれいな掌で頭をなでる。

 

「たま、殴ってすまなかった」

 

 つぶやくように謝罪すると、ゆっくりとした足取りで畜舎の入り口へと去っていった。

 

「承知」

 

 その副長の背に、双子の了承の言葉がぶつかり地に落ちた。 翌日、朝食後に削蹄がはじまった。

 

 まずは牛から。島田を中心に、原田の組下であった「進Oの巨人組」、つまり、ガタイのいい連中が、牛を取り囲む。双子が声をかけると、牛も馬もおとなしくなるのだが、今回、削蹄がほぼはじめてという、とんでもない状況である。牛馬が驚き、いつなんどき暴れだすかもしれない。その為の要員である。

 

 牛の蹄は二つに分かれている。厳密には、うしろに副蹄が二つある。主蹄は、人間でいう中指と人差し指にあたる。つまり、牛はあの巨体を指でささえているのである。それをかんがえたら驚異的だ。

 

 それに比較すれば、先夜の双子の親指二本での倒立など、たいしたことないって思える。

 

 削蹄をおこなうことで、体重を均一にできるそうだ。それにともない、健康的にすごせるというわけである。おこなわないと、牛自身、体重のかかりかたが悪くなり、脚だけでなくいろんなところを痛めてしまう。よって、現代でも乳牛、肉牛と、環境はいろいろあれど、すくなくとも年に二回はおこなったほうがいいらしい。

 

 双子は、こぶりの鉈とやすり、やっとこのようなものを、村をまわって集めてきた。

 

 まずは前脚から。これは、牛も馬もおなじらしい。

 

 鉈でおおまかに蹄を切り落としたのち、やっとこで容赦なく切り取ってゆく。

 

「うわっ、痛そう」

 

 子どもらだけでなく、大人も自分の痛みのようにでいう爪なのだ。爪を切っても痛くなかろう?」

 

 俊冬の説明に、みな、なるほどと納得する。

 

 やっとこで切ったのち、やすりで形を整えてゆく。

 

 おおっ!ちょうどいい具合に、蹄が二つにわかれている。これぞ偶蹄類。これで一脚完了。

 四本あるわけだから、まだ三本ある。

 

 双子は、あっというまに牛たちの蹄をリフレッシュしてしまった。

 

 それから、馬たちへ。

 図星なのであろう。なぜなら、俊冬をにらみつける副長の