2018年09月

そこへ入った事で、王鳳を支援する者は周りにおらず、ほとぼりは時間とともに冷めていたった。そして、陳東の船に属し海賊業に精を出し始めた陳秀は、返しきれない恩を、いつか王鳳に返さねばならないと硬億嘉國際心に決めた。しかし、風の噂が運んでくる王鳳の噂は、新たな妻を娶らない事や、弟へ組織を全て渡したという事などであった。その後、弟へ渡した組織が官軍から攻撃されるという事件があり、王鳳は組織を守るために、奮戦し、どこかへ姿を消してしまったとの事であった。陳秀は、王鳳の生死を心配し続け、陳東に願い出て、王直の率いる倭寇へと移った。そして現在に至るとの事であった。こうして長い話を終えた陳秀に、たっつんは、なかなか返す言葉が思いつかなかった。(俺なんかより…壮絶な人生じゃねぇか…。)陳秀は陳秀なりの考えがあって、たっつんに付いてきている事を改めて知ったたっつんは、(又爺は、やっぱ、すげぇ人だったんだな…。だけど、陳秀もすげぇ。俺なんか…まだまだ…。)自分の考えていた事が、随分と小さな事に思えてきた。

見つけた宿は、安宿ながら、なかなか快適そうな宿で、店主も気さくそうな男である。そんな店主に、Gが船について尋ねてみると、「船でっかぁ。佐伯や臼杵の方まで行きゃぁ乗せるくれる船もありま精華液好用やろ。あのあたりは栄えておりますからな。」と、丁寧に場所まで教えてくれた。これには、Gの後ろに隠れていた菊も、「ありがとうございます。」気さくな店主と、なんとかなりそうな気配に、ほっとした様子で店主の前まで行き、丁寧に頭を下げた。しかし、店主は、この菊を見ると、表情を一変させた。店主は、Gの方を向くと、「悪い事は言わん。佐伯と臼杵は避けた方が良い。ここから迂回して、平戸の方から行った方がええ。」と、さっきとは打って変わって迂回路を示し始めた。その道は、阿蘇を横断する山道で、「山賊がでるやもしれんが、用心棒もおるようじゃし、このまま北に行くよりはええ。」と理解に苦しむ事を言う。要領を得ないGには、店主の意見の転換が理解出来ず、「………どういうことだ?」と尋ねると、目をギョロギョロさせて辺りを窺(うかが)った店主が、「あまり大きな声では言えんが…。」と声を潜めて話し始めた。

チチチチチチ少し肌寒くなり始めた朝霧を、鳥の囀りが震わせている。1554年、秋。今年も収穫の時期を迎え、町には栗や秋刀魚などの秋の味覚が並ぶ時期となった。しかし、ここadrian cheng土佐中村では、今年も、その収穫を祝う事は無い。平素と全く変わらぬ町は相変わらずで、それは、毎朝恒例の矢を射る隆行も同じであった。スターンスターン以前よりも、小気味よい音が続くようになっている。(今年で殿の謹慎も二年になったか…。)矢を放つ隆行は、最近めっきり話さなくなった、主君一条兼定の事を考えていた。しかし、話さなくなったといっても、隆行が話しかけても返事が無い、という訳では無い。宗珊との話し合いで、主君に食事を持って行く時は、話をしてはいけない事となっている。食事を持っていくのは、余程の特別な事が無い限り、隆行か宗珊が運んでいたため、話さないというルールは未だ破られていなかった。つまり、(殿は、もう二年もの間、誰とも会話をしていない。)そういう事であった。

空には、零れ落ちそうなほど輝く星空が散らばっていた。空腹の二人は、なかなか寝付く事が出来ず、横になったまま黙って星空を眺めていた。「ほらよ。」ふいに隼人が、藤吉郎に最後の味噌beautyexchange入った小さな袋を投げた。「そんな物無い方が開き直れる。金兵衛が寝てるうちに食べちまえ。」そういう隼人も相当の空腹のはずである。起き上がって、味噌を大切そうに持った藤吉郎が、どうしようか迷っていると、星空を見上げたままの隼人が、一人で話し始めた。「酷ぇ時代だ。村を歩けば痩せ細った子供が道で死んでおる。町を歩けば、身体の不自由な老人が物乞いに来る。」藤吉郎は味噌を大事に持ったまま、隼人の横に寝転がり、星空を見上げた。「たしかに、ヌシの言うとおり、ワシらのやろうとしておるのは如何様の宗教だ。」藤吉郎は黙って隼人の言葉に聞き入っていた。「ただ、如何様の宗教でも、そういう悲惨な人達を救う事は出来るんだぞ。頭となる者達が搾取せずに皆を踏み台にしなけりゃな。」隼人は、隼人なりに藤吉郎の良識を労わっているのであろう。

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