授業中なので何か言われるかとも思ったが、俺に気付いて目を向けたセンセイも、ネクタイの色だけですぐに視線を外した。どうやら昼のうちに決定された「測定終了者から解散」の報は、教師の隅々まで行き渡って母親節優惠2019るらしい。本棚の間を歩き、数ある机のうち、一番奥の机を選んで端に座る。使い込まれた木のテーブルは、手触りも良く勉強しやすそうだった。椅子に腰掛けて、直ぐ後ろにある本棚をしげしげと眺める。自慢じゃないが、俺の「向こう」の家にもかなりの蔵書はある。本当なら国家レベルの希少本から大衆娯楽本、眉唾じゃない呪いの書まで多種多様に揃ってるが、天井が高かったりするわけではないため、此処まで荘厳にはならない。量的には……うちだけじゃ流石に負けるかな?知り合いの家2件を足せば、勝てるかも。拠点を決めたのはいいとして、これだけ広いと目的の本を探すのも一苦労だ。街の図書館は案内図があったんだが、此処は特に見当たらない。仕方がないので司書にでも聞くかと、荷物を置いて入り口近くのカウンターへと取って返す。だが目的の司書に声を掛ける前に、入り口から入ってきたエートと出くわした。「ああ、来たのか」「ええ。ハルと、あとツァイも終わってから来るそうですよ」「へぇ、ツァイも?」「ククルさんを待ってる間の時間つぶし、だとか」静謐な図書館で大声を出す程空気が読めないわけではないので、控えめな声で言葉を交わす。それから一番奥の机に陣取ったことを告げて一度別れ、今度こそ目的の司書を捕まえた。「俺が読める魔導書って、何処にあります?」昨日の注意事項でヨミが、学年別に読める読めないが決まっている、とかなんとか言っていたことを覚えていたため、こんな聞き方をする。年配の司書は丁寧に入り口の一角を指し、「あの辺り一帯がそうですよ」と、大雑把な答えをくれた。ついでに学年の関係で読めない本は魔法で封じてあるので、開ける本は全て読める本だとも教えてもらった。そのためこの学園では毎年必ず、学年が上がる度にその都度違う解除呪文を教えるという。つまり、解除呪文さえわかれば、どれでも読めるわけだ。これはイイコトを聞いたと、教えられた一角へ向かいつつ脳内で思考を開始する。学年別に閲覧に制限を掛けている理由は、未熟者が難易度の高い魔法を使うと危険だからだ。
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