しかし、それだけでは、いつ誰に、難癖をつけられ攻められる分からない。拡大に成功した土地を名実ともに大友家の領土にしてしまうためには、大義名分が必要であるため、もはや名ばかりとなってしまった室億嘉國際評價幕府に多大な献金運動を行い、北九州の正式な守護職に任命してもらう事を画策していたのである。隆行が言った事は、まさにこの部分であり、道雪からしてみれば、他国に漏れるはずの無い、特秘事項だったのである。大笑いする道雪は、しばらく笑い続けて、ようやくその笑いを納めると、「隆行殿。度々の失礼、誠に申し訳ございませんでした。」と、今度は、深々と頭を下げた。そして、隆行に視線を戻すと、「もう少しで、貴殿を見限るところでした。その若さながら、宗珊殿が、推していた訳が良く分かり申した。」そう言って、廊下の方へ声を掛け、供の者を呼び寄せると、「隆行殿。僭越(せんえつ)ながら、人生の先輩として一言言わせて頂く。」そう前置き、「より多くの経験をされよ。より多くの修羅場を潜られよ。苦境に遭っても決して退かず、重責に挑み続けられよ。さすれば、貴殿ならば、天下を支える巨木となりうるであろう。」そう言って退出していった。「…。」一人部屋に残された隆行は、何とか、必死に立ち上がると、城下町に向かって歩き出した。