主君、兼定が城から現れた折に、兼定が宗珊に恨みを抱いているようであれば、腹を斬って死ぬつもりなのであろう。唯一の後継ぎを殺させられた宗珊は、それを命令した主君を責める事よりも、他の者がそのよ億嘉國際な事態に遭わぬよう、主君の成長を願い、主君を城に閉じ込め、その間の一条家を文字通り東奔西走し、守り続けた。そこまでしておきながらも、その功を誇るどころか、このたびの幽閉が不首尾に終われば、責任をとって他の者に責任が飛ばないようにするつもりなのであろう。宗珊の死衣装には、そうした覚悟が顕(あらわ)れていた。(…という事は、後ろにいる者達は…。)そんな宗珊に殉ずる覚悟を決めた、土居家の者達であろう。(そこまでするのか…。俺は、主君を幽閉するって事を甘く見ていたのかもしれん…。)と衝撃を受けた隆行は、只単に正装で来ただけの自らを恥じた。隆行は、近寄り難い宗珊の雰囲気に二の足を踏みながらも、自らを振るい立たせて歩いていくと、「おはようございます。」と頭を下げた。「うむ。おはよう。」「宗珊殿…。それ程の御覚悟で殿を幽閉されていたのですか…。」やはり、話題は、宗珊の見事なまで忠義ぶりに移ってしまう。