そして、政景から発せられた指示は、「いかん!撤退じゃ!皆、北岸へ戻れ!!」撤退命令であった。(はっ?ここまで来て撤退?)隼人が自らの耳を疑っていると、南岸の方から戦場激光收毛孔れした野太い大声が聞こえてきた。「我らが柿崎のツワモノどもよっ!明日の勝利は沈着迅速な撤退から成るぞ!!隊伍を乱すなぁ!退き陣じゃぁ!!!」(はっ?柿崎って前にいた部隊じゃねぇか!引き陣だって?!!)耳を疑い続けている隼人は、未だ闇の残す南岸を目を凝らしてみると、ちょうど、朝日が南岸を照らし始めた。(な、なんじゃありゃぁ!!)見ると、たしかに長尾の旗の混じった柿崎隊が南岸に上陸していたが、三方を敵に囲まれ、じりじりと後退し始めるところであった。すると、次の瞬間には北岸が騒がしくなり始め、パン!パパーン!パパパーン!!大量の鉄砲の音が響いてきた。(おぃおぃ!どういう事だ?!あんなに静かに動いてたのに!!)隼人が状況を飲み込めないのも無理は無いであろう。今回の戦の相手は、甲斐の虎、武田晴信(信玄)が自ら率いる武田軍である。一筋縄でいく相手では無かった。